映画 『地獄でなぜ悪い』
園子温監督作品、たぶん今まで観たことがないです。
と思って確認してみたら『ヒミズ』を観ていました。そうだ、それで二階堂ふみちゃんに惚れたんだった。星野源と二階堂ふみが出演していなかったら『地獄でなぜ悪い』は観ずにいたかも。観れてよかったぁ!
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映画館だと物語に入り込んでしまうので、斬ったり刺されたり血が吹き出したりする場面で胃がキリキリとしてしまう私。これがそういう系統の映画であることは知っていたので、早く観たいけれどもせめてテレビの画面で観ようとレンタル開始を待っていました。そして今日やっと観ました。
前半、特に“ガラスの破片でお別れのキス”のシーンはもう胃が痛くてほとんど見ていられませんでしたが、最後の血みどろ血しぶきの数十分間には笑いを堪えきれなくなって爽快感さえ残るという、謎の感情カオスに襲われる映画。その後味の“なんだこれ”感が最高でした。
ラストは全員がその時に情熱を燃やしていたモノ(映画作りしかり恋しかり)の中で死んでいくという、なんかそれっていいな!みたいな感動すらある、笑って、泣けはしないけど何かしら心に残してしまう映画。
そのラストに死ななかったキャラクターが1人いたわけですが、彼には「カット!」の声がかかって“終わり”がくるんですよね。なんだかそれもすごく良かった。うまく言えませんが。
主題歌のほうの「地獄でなぜ悪い」(by星野源)も良いのです。映画ラストのカオスを引き継ぐようにして、楽器が騒がしい音像を鳴らしてから始まるこの曲。
“嘘でなにが悪いか 目の前を染めて広がる ただ地獄を進む者が 悲しい記憶に勝つ”
生きることは地獄のようだけれど、想像や作り物に託す希望やその力を信じ、それを引き連れてこの地獄を生きていくのだ、という。
“幾千もの 幾千もの 星のような 雲のような 「どこまでも」が いつの間にか 音を立てて 崩れるさま”
なんて“嘘で出来た世界”の切なさでもあるけれど、この映画には大切な一節だったりするな、とも思います。