あることないこと

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Porter Robinson 「Sad Machine」

ある人から教えていただいて見事にハマったこの曲を、さも自分で見つけたかのように話したいと思います。野暮なもので。

気持ちのいい音。アゲアゲでブイブイいわせるような曲よりも、エレクトロニカはこのくらいしっとりとしてメロウな感じの曲の方が個人的には心地よくて好きです。肌感覚レベルの話ですが、ボーカロイドを使用しているからなのかコード感からくるものなのか、日本のポップスが内包しているような切なさを感じました。それでPorter Robinsonの他の曲も観てみると、車窓からの日本の景色をバックに日本語を駆使した曲があったり、原宿的なカワイイ格好の女の子たちが登場するMVがあったり、かなり日本を意識してるじゃん!と。もう少し調べたところ、【=◈︿◈=】の顔文字を象徴的に使っていたりとか、戦略上の意識というよりは本人がそもそも日本のカルチャーを好んで接しているようですね。公開されていた彼のDJセットでは、宇多田ヒカルなどなど日本の楽曲もフューチャーされていました。

発表されている彼の楽曲のなかでボーカロイドを使用した曲はこれのみであるようなので、ひとつ。ボーカロイドが人の声を持った楽器、機械である以上、そこに意志や人格を持たせるのは人間です。生身の声と交差しながら、ボーカロイドが<I'll depend on you.>と歌うこと。楽曲全体の本来の意味は汲み取り切れていませんが、その一節に「私はあなたに意志を与えられて成り立つんだ」とでもいうような、キャラクターを与えられた楽器としてのボーカロイドだからこそ歌える歌を感じました。

個人的に、本来の楽器の音色を模した打ち込みの音はチープに聞こえがちで、この曲も例外ではないと思ったのですが、そんな感覚も忘れさせてくれるほど気持ちよく聴ける1曲でした。